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スマートフォンでデジタルコンテンツを購入する場面。コインと決済カードが周囲に浮かぶイメージ
ブログ事業者向け2026-08-27約9分

LINEミニアプリの課金手数料、7月に無料期間が終わりました。「アプリストアの30%を回避できる」は本当か

対象読者: LINEミニアプリでデジタルコンテンツの販売を検討している、または既に始めている事業責任者・経営者

LINEミニアプリでデジタルコンテンツを販売できる「アプリ内課金」について、2026年7月1日から手数料の適用が始まりました。それまでは無料でした。

この変更、事業者向けの解説記事がほとんど見当たりません。実際に検索してみると、LINEミニアプリの「開発費用の相場」を扱った記事は数多くあるのですが、課金手数料に触れているものは見つかりませんでした。仕組みを解説した記事でも、手数料の章はありません。

先に結論を書きます。LINEミニアプリのアプリ内課金は、App Store と Google Play の決済機構をそのまま使います。したがって「LINEミニアプリにすればアプリストアの手数料を回避できる」という理解は、こと課金機能に関しては成立しません。

そのうえで、事業計画を立てる前に知っておくべき制約がいくつかあります。順に説明します。

2026年7月、LINEミニアプリの課金で何が変わったのか

6月末まで手数料は無料でした

LINEミニアプリのアプリ内課金は、2026年4月13日に全事業者向けの本格提供が始まりました。2025年7月から一部企業に先行提供されていた機能が、条件を満たす事業者なら誰でも申し込める形になったものです。

このとき、LINEヤフーは手数料を無料としていました。2026年6月5日の告知には、こう書かれています。

LINEミニアプリのアプリ内課金機能は、より多くのお客様にご活用いただけるよう、2026年6月末まで手数料無料で提供しております。2026年7月1日以降は、所定の手数料を適用いたします。

つまり、4月から6月末までは無料で試せる期間でした。

7月1日以降の決済分から手数料が適用されています

2026年7月1日、予告どおり手数料の適用が始まりました。同日付の告知では、適用範囲がこう示されています。

手数料の適用開始日:2026年7月度ご利用分から、所定の手数料を適用します。手数料率は、お申し込み時にご案内した料率が適用されます。

あわせて「LINEアプリ内課金利用規約(LINEミニアプリ提供者向け)」も改定されました。この規約はその後7月27日にも改定されており、各当事者の責任・権限の明確化が行われています。

無料期間中に導入した事業者は、7月分の利用から自動的に手数料が発生している状態です。「無料だから試してみた」まま運用が続いているなら、収支を一度確認する必要があります。

「アプリストアの30%を回避できる」が成立しない理由

LINEミニアプリの利点として、しばしば「アプリのインストールが不要」「審査が軽い」といった点が挙げられます。そこから連想して、「アプリストアを経由しないのだから、ストアの手数料もかからないはずだ」と考えてしまうことがあります。

課金機能に関しては、これは誤りです。

アプリ内課金は App Store と Google Play の決済機構を使います

LINE の公式ドキュメントには、アプリ内課金の特徴として次のように明記されています。

App StoreおよびGoogle Playの決済機構を利用する。
LINEプラットフォームによる決済検証と通知機能を提供する。

同じドキュメントのシステム構成の説明では、各要素の役割がさらに具体的に分かれています。

要素役割
LINEミニアプリユーザー操作を受け取り、購入処理を開始する
LINEミニアプリのサーバー購入処理の予約、Webhook の受信、購入結果の管理
LINEプラットフォームストア決済の検証、Webhook イベントの送信
アプリストア実際の決済処理(iOS: App Store / Android: Google Play)

お金が実際に動く場所は、アプリストアです。LINE が担っているのは、その決済が正当なものかを検証し、結果を事業者のサーバーへ通知することです。

手数料は二段で引かれます

事業者がいくら受け取るのかは、利用規約の第 5 条に定められています。まず販売総額から、LINEヤフーがアプリストアに支払う手数料相当額が控除されます。

販売総額から、当該金額に基づき算定される、当社がアプリストアに支払う手数料相当額(消費税等を含みます。)を控除した金額(以下「引渡対象額」といいます。)を引き渡す義務を負います。(第 5 条 3 項)

そのうえで、LINEヤフー自身の手数料(規約上は「本件手数料」)が、この引渡対象額から相殺されます。

引渡対象額と本件手数料を対当額で相殺したうえで、お客様が当社に本サービス利用申請時に登録された口座(中略)にこれを送金し支払います(第 5 条 4 項)

式にすると、こうなります。

text
販売総額(ユーザーが支払った額・税込)
− アプリストアに支払う手数料相当額     → 引渡対象額
− 本件手数料(販売代金 × 本件手数料率)
─────────────────────────
= 精算金(事業者の受取額)
販売総額から2回、別々に差し引かれる(利用規約 第5条)

つまり、アプリストアの手数料とLINEヤフーの手数料は、それぞれ別に差し引かれます。「LINEミニアプリだからアプリストアの手数料はかからない」ということはありません。

では、実際にいくらかかるのか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

手数料率は「申込画面に明記される」と定められています

LINEヤフーは、アプリ内課金の手数料率を Web 上で一律には公開していません。公式ドキュメントの記述はこうです。

アプリ内課金機能を利用するには、所定の手数料がかかります。手数料率は、LINE Developersコンソールから利用申請を行う際の[アプリ内課金]タブ内に表示されます。

ここだけを読むと「申し込んでみるまで金額が分からないのか」と身構えたくなりますが、そうではありません。「LINEアプリ内課金利用規約(LINEミニアプリ提供者向け)」の第 5 条に、こう定められています。

本件手数料率は、本サービスの申込みを行う申込書、申込画面等に明記するものとします。

つまり、契約前に料率を提示することが規約上の義務になっています。金額が分からないまま契約させられる仕組みではありません。

なぜ一律の料率が公開されていないのか

同じ条文には、続けてこう書かれています。

但し、本件手数料率に関して当社とお客様との間に別途の定めが存する場合には、別途の定めが優先するものとします。

事業者ごとに個別の取り決めがありうる、ということです。一律の数字を掲げられないのは、これが理由と考えられます。後述する報道が「26〜31%」という幅で伝えているのも、この構造と整合します。

BtoB のプラットフォーム手数料としては珍しい形ではありません。ただし事業計画の段階では、公開情報だけで粗利を積み上げることはできません。料率を知るには、LINE Developers コンソールで申込画面まで進んで確認することになります。申請自体は未認証のミニアプリでも可能です。

報道では現行26〜31%、10月から20%へ

公式発表ではありませんが、料率に関する報道はあります。

日本経済新聞は2026年5月12日の記事で、LINEヤフーがミニアプリの決済手数料を条件付きで引き下げる方針だと報じています。記事によれば、Apple の iOS の決済機能を経由して処理する場合を対象に、現行の26〜31%を一律で20%とする予定で、2026年10月以降に適用されるとのことです。

背景にあるのが、Apple が2025年11月13日に発表した「Mini Apps Partner Program」です。これはミニアプリをホストするアプリ向けの制度で、Apple 公式の説明によれば、条件を満たすアプリ内課金の売上について手数料が15%に軽減されます。適格となるには Declared Age Range API と Advanced Commerce API への対応が求められます。

LINEヤフーがこの制度の適用対象となる見通しになったことが、事業者向け料率の引き下げにつながる、という構図です。

ただし注意点があります。日経の報道は「予定」であり、LINEヤフーからの公式発表ではありません。また、引き下げの対象はApple 経由の決済に限られると報じられており、Android 側がどうなるかは記事からは読み取れません。

この数字が「何の %」なのかは確定できません

さらに重要な注意点があります。この 26〜31% や 20% が何を指す数字なのかが、報道からは読み取れないことです。日経の記事は「「ミニアプリ」での決済時に生じる手数料」としか書いておらず、内訳の説明はありません(有料記事のため、本稿では無料公開範囲の記述のみを根拠にしています)。

考えられるのは 2 通りです。

  • 事業者が最終的に負担する合計、つまりアプリストア手数料と LINEヤフーの手数料を足した数字
  • 規約でいう「本件手数料率」、つまりLINEヤフーの取り分だけの数字

どちらなのかで、事業者の手取りは大きく変わります。仮に 1,000 円のアイテムが売れたとして、前者なら手取りは約 800 円ですが、後者ならここからさらにアプリストアの手数料が引かれます。

そして本件手数料率は公開されておらず、LINEヤフーがアプリストアに支払う手数料も同社とアプリストアの間の取り決めなので、事業者側からは見えません。

結論として、公開情報だけで手取り額を計算することはできません。申込画面で提示される料率と、その料率が何を指すのか(ストア手数料を含むのか否か)を確認するのが、唯一の確実な方法です。

本格提供から手数料適用、引き下げ予定までの流れ

事業計画を立てる前に確認すべき5つの制約

手数料以外にも、導入前に知っておかないと計画が崩れる制約があります。いずれも公式ドキュメントに書かれていますが、解説記事ではほとんど触れられていません。

1. 売れるのは「消耗型」のデジタルコンテンツだけです

現在、アプリ内課金で取り扱えるのは消耗型(consumable)のみです。ゲーム内通貨やポイントのように、購入して使い切るタイプの商品を指します。

裏を返すと、月額のサブスクリプションや、一度買えばずっと使える買い切り型のコンテンツは対象外です。継続課金モデルを前提に企画を進めていた場合、この時点で設計をやり直すことになります。

2. 完了した決済のキャンセルには対応していません

ここは特に見落とされやすい点です。公式ドキュメントには、はっきりこう書かれています。

LINEヤフー株式会社では、アプリ内課金を使用して完了した決済のキャンセルには対応していません。不正利用や誤操作による決済については、App StoreやGoogle Playなどの各アプリストアの最新の払い戻しポリシーを確認の上、ユーザーが直接払い戻しをリクエストするように案内してください。

つまり、ユーザーから「間違えて買ってしまった」と連絡が来ても、事業者側で返金処理をすることができません。できるのは、アプリストアへの払い戻し請求方法を案内することだけです。

自社サイトの決済であれば、カスタマーサポートの判断で返金に応じるという運用が可能です。それが取れないため、問い合わせ対応のフローを設計し直す必要があります。「返金は各ストアの手続きになります」と案内するためのヘルプページや、サポート担当者向けの手順も用意しておくべきでしょう。

3. 販売するアイテムと価格は、あらかじめ定義されています

購入可能なアイテムは、LINE プラットフォーム側で事前に定義されており、事業者はその一覧(プロダクトID一覧)から選ぶ形になります。基準価格は日本円で定められています。

自由に「980円のプラン」を作れるわけではない、ということです。価格設計に強いこだわりがある場合は、事前に定義済みの価格帯で成立するかを確認しておく必要があります。

さらに、ユーザーに価格を表示する際は、そのユーザーが使っているアプリストアのリージョンにローカライズされた通貨で表示することが求められます。ミニアプリ内の表示価格とストアの決済画面の価格に差が出ないようにするためです。

4. 自社サイトで同じものを安く売ることはできません

価格の制約は、ミニアプリの中だけにとどまりません。利用規約の第 4 条には、こう定められています。

有料アイテム等についてLINEミニアプリ内で提示するものと同じ表記のうえ、同一内容価格での販売のみ行うことができます。

さらに、自社サイトや他のプラットフォームでの購入を、LINEミニアプリでは提示していない無償・割引価格で奨励することも禁じられています。

「アプリ内課金の手数料が高いから、自社サイトへ誘導して安く売る」という設計は取れない、ということです。手数料を織り込んだうえで、どの経路でも同じ価格で成立するかを検討する必要があります。

5. 利用できる事業者・ユーザーが限定されています

利用条件と動作条件も、それぞれ定められています。

  • 事業者側: LINEミニアプリチャネルの「サービスを提供する地域」と「会社・事業者の所在国・地域」がいずれも日本であること
  • アプリ側: 認証済ミニアプリであること(利用申請自体は未認証でも可能)、LIFF SDK が 2.26.0 以上であること
  • ユーザー側: LINE アプリに日本の電話番号を登録していること、LINE のバージョンが 15.6.0 以降であること

特に「認証済ミニアプリであること」は時間に影響します。すでに認証済みとして公開しているミニアプリに課金機能を追加した場合も、再度、認証審査を受ける必要があります。リリース日から逆算する際は、この審査期間を見込んでおいてください。

なお、売上の精算は月次です。規約では、支払月の翌月末日までに販売総額・引渡対象額・手数料の明細が通知され、手数料と相殺したうえで登録口座へ送金されると定められています。入金までのサイクルも、運転資金の計画に織り込んでおいてください。

自社の場合、どう判断するか

ここまでの内容を踏まえて、判断の道筋を整理します。

そもそもアプリ内課金が必要なのか

まず確認したいのは、売ろうとしているものがデジタルコンテンツなのかどうかです。

アプリストアの決済を通す必要があるのは、アプリ内で消費されるデジタルなアイテムを販売する場合です。物販、店舗予約、レッスンの申し込み、飲食の事前注文といった、実世界の商品やサービスの対価であれば、そもそもアプリ内課金の対象ではありません。

この場合は外部の決済サービスを使えます。アプリストアの決済を通さないため、手数料の構造そのものが変わります。自社が売ろうとしているものがどちらに当たるかで、コスト構造がまったく変わるということです。

外部決済という選択肢

デジタルコンテンツ以外を扱うのであれば、決済手段は自社で選べます。LINEミニアプリに組み込める決済サービスの比較については、別の記事で詳しく扱っています。手数料率、導入の手間、対応する決済手段を並べて検討する材料になるはずです。

デジタルコンテンツを売るなら、まず料率を確認する

売るものが消耗型のデジタルコンテンツで、アプリ内課金が避けられない場合は、次の順序で進めることをおすすめします。

  1. LINE Developers コンソールの申込画面まで進み、自社に適用される料率と、それが何を指すのか(アプリストアの手数料を含むのか否か)を確認する
  2. その料率で粗利が成立するかを試算する
  3. 返金対応・価格設計・認証審査の期間を運用計画に織り込む
  4. 2026年10月以降の料率変更について、公式発表が出た段階で再確認する

料率が一律には公開されていない以上、机上の試算だけでは判断できません。申込画面で数字を確認するところまでを、検討フェーズの作業として組み込んでおくのが現実的です。

まとめ

  • LINEミニアプリのアプリ内課金は、2026年7月1日から手数料の適用が始まりました。6月末までは無料期間でした
  • アプリ内課金はApp Store と Google Play の決済機構をそのまま利用します。「LINEミニアプリならアプリストアの手数料を回避できる」は、課金機能については成立しません
  • 規約上、アプリストアの手数料と LINEヤフーの手数料は別々に差し引かれます(販売総額 − ストア手数料相当額 − 本件手数料 = 精算金)
  • 手数料率は Web 上で一律には公開されていませんが、申込画面に明記することが規約で義務づけられています。契約前に必ず金額が分かります。一律で公開されないのは、事業者ごとに別途の定めがありうるためです
  • 報道ベースでは現行26〜31%、2026年10月以降は Apple 経由の決済に限り一律20%になる予定とされています(日経・2026年5月12日)。公式発表ではありません
  • ⚠️この数字が「合計」なのか「LINEヤフーの取り分だけ」なのかは、報道からは確定できません。そのため公開情報だけで手取り額を計算することはできません
  • 取り扱えるのは消耗型のデジタルコンテンツのみで、サブスクリプションは対象外です
  • 完了した決済のキャンセルに事業者側は対応できません。返金の問い合わせはアプリストアへ案内する運用になります
  • 販売アイテムと基準価格は LINE 側で事前定義されており、自由な価格設定はできません
  • 自社サイトや他プラットフォームで、同じものを安く売ることはできません(規約で同一価格での販売のみと定められています)
  • 物販・予約・サービス提供など、デジタルコンテンツ以外を扱うなら、そもそもアプリ内課金の対象外です。外部決済を選べます

LINEミニアプリは、ユーザーがアプリをインストールせずに使える点で確かに導入のハードルが低い選択肢です。ただし課金となると、話は別の構造になります。「何を売るのか」を先に確定させないと、手数料の比較そのものが噛み合いません。

Amanityでは LINEミニアプリの開発・保守を手がけており、課金の要否を含めた設計段階からのご相談も承っています。「この商材はアプリ内課金の対象になるのか」「外部決済とどちらが有利か」といった整理からでも構いません。

出典